リーガル・
アップデート
キャッシュバリュー型生命保険契約の遅延撤回
キャッシュバリュー型生命保険に加入する際、保険会社には情報提供の義務がある。情報提供の義務に違反があった場合は、保険契約者は何年経った後でも、保険会社から支払った金額の返金を要求することができる。保険会社に不利なこの慣習を止めるため、2018年に法律が改正された。新しいルールの下では、契約締結から5年後以降は、解約払い戻し金のみを受け取ることが出来るというものである。最近になって、オーストリアの最高裁判所がこの新しいルールの違法性を認めた。理由は、締結から5年後以降の契約の撤回と、単なる契約の解約の法的結果が同じになるからである(sec 176 para 1 VersVG)。 従って、従来の判例法が引き続き適用され、義務に違反があった場合には、契約は、不当利得返還の権利を基に、引き続き撤回されることができる。 (7Ob185/21p)
2022年3月16日SWIFTからのロシアの排除
SWIFT(国際銀行間通信協会)は、ベルギーに本拠を置く有限責任事業組合であり、世界中の参加銀行が安全かつ迅速に支払い処理ができるよう、共通のプロセスや標準を策定している。ロシアのウクライナ攻撃の結果、欧州理事会は規制により、ロシアの一部銀行をSWIFTシステムから除外した。そのため、ロシアへの、そして、ロシアからの支払いは大幅に制限される。国際的な代替手段はないが、近年、ロシアは独自の決済システム、例えばSPFSやMirを開発済みである。(ABl 2022 L 063)
2022年3月2日欧州連合(EU)のオーストリアに対する侵害訴訟手続き
2019年、欧州連合は、EU法への違反を告発する者の保護に関する指令を制定した。この指令は、マネーロンダリングや法人税法への違反などに対する告発について扱うもので、原則として、EU加盟国には、2021年12月17日までに内部告発者の保護に関する国内法を施行することが義務付けられていた。未だこれに関する国内法を施行していないオーストリアに対し、欧州委員会が侵害訴訟手続きを開始した。
2022年2月16日返済猶予期間中の引き落とし金利の返還
パンデミックによって失業した消費者や短時間勤務に従事する消費者を経済的に救済するため、2020年の初めに消費者信用契約に関する分割支払いの法的な猶予が決定した(cf. Section 2 2nd COVID-19-Justice Accompanying Act)。それにもかかわらず、一部の銀行は猶予期間中も顧客に引き落とし金利を請求し続けた。その後、消費者情報センターが、このような行為に対して訴訟を起こした。この訴訟は、オーストリア最高裁判所(OGH)により支持された。裁判所は、返済猶予期間中の消費者の負担はないはず、との見解を示した。銀行は今後、3ヶ月以内に過払いの金利を返還する必要がある。(3Ob189/21x)
2022年2月2日カバードボンド法の改正
2022年7月8日付で、EUのカバードボンド指令(EU-CB-Directive)実施のための、オーストリアの新しいカバードボンド法(PfandBG)が発効される。新しい改正は、オーストリアのカバードボンド市場の魅力を高め、EU域内の競争の歪みを解消することを目的とし、また、現在オーストリア内の様々な規定(HypoBG、PfandbriefG、FBSchVG)に分散しているカバードボンドに関する規制も統一される。この改正で、認可を受けた信用機関が、あらゆる形態のカバードボンドを発行できるようになることも注目すべき点である。(Federal Law Gazette I No. 199/2021)
2022年1月18日