リーガル・
アップデート
目論見書の通知は裁判権を満たすための必須条件ではない
ある投資家がオーストリアにおいて、資本市場の目論見書が不正確であった、との訴訟を起こした。その不正確な目論見書は、オーストリアにおいて提出(通知)されてはいなかった。民事最高裁判所は、今回のケースにおいて、オーストリアの裁判所の裁判権についての判決を下した。その判決によれば、オーストリアの裁判所が今回の訴訟における裁判権を持つためには、オーストリアにおいて事実、目論見書の提出(通知)があったかどうかということは、必須条件ではない。裁判権への条件は、オーストリアの口座によって投資が行われ、それに係る契約書類がオーストリアにおいて署名され、その決済口座がオーストリアの口座であることのみである。
2020年4月8日関係当局の守秘義務
行政最高裁判所(VwGH)は最近、当局の守秘義務についての判決を下した。上訴人は、その人自身に関する、国内当局と外国当局との間の情報交換について、情報を求めた。結果的にその請求は却下された。「外交関係の利益保護」の名の下、その請求の却下は、正当化された。一般的に、情報への関心と、その機密性は比較検討される必要がある。ただし、今回のケースのような、外交関係の利益保護という公共の利益が存在する場合、情報への関心とその機密性を比較検討する必要はない。公益(Art 20 B-VGに準拠)は常に優先される(VwGH Ra 2017/01/0140 dated 28.01.2019)。
2020年1月31日内部監査の新しい最低基準
2020年1月2日に、オーストリアの金融市場監督局(FMA)は、内部監査の新しい最低基準を公表した。 ごくわずかな例外を除き、これらは、全てのオーストリアの信用機関および金融機関に影響を与える。変更は、15年前の基準と比べ、特に、内部監査とFMA間のコミュニケーションについてなされている。新しい基準には、内部監査の責任者が満たすべき要件の明示等、いくつかの明確化もなされている。 FMAの最低基準は、いわゆるソフトロー(soft-law)と呼ばれ、法的拘束力はないが、それらは実務において、非常に重要な役割を果たす。
2020年1月17日オーストリアにおけるマネーロンダリング指令の実施
EUにおいて5回目のマネーロンダリング指令(2018/843)の実施に関する、新しい法律の審査期間は、2019年12月17日をもって期限切れとなる。その新しい法律によれば、企業は、ストローマンを使用することによって、トレードライセンスを取り消すことができる。芸術作品の取引も新しい法律でカバーされているため、アートギャラリーなども関連支出の上昇等の影響を受けるとみられている。オーストリアにおいてリスクの高い州のリストから、これらの義務の増加が適宜、適用される。以前は、必リスク査定のみが必要とされていた。
2019年12月13日欧州司法裁判所(ECJ):9年前に結ばれた銀行との融資契約を撤回することはできない。
欧州司法裁判所(ECJ)は近頃、ファイナンシャルサービスの遠隔マーケティング指令(the Distance Marketing of Financial Services Directive)についての判決を下した。この判決は、ドイツの裁判所が提出した仮質問がきっかけであった。この判決によると、撤回の権利(The right of withdrawal)は、契約のための条件が満たされている場合、そして、契約のより短い満了期期間について指摘されていた場合には、失効する場合がある。先例の場合、ある夫婦は、撤回の権利(The right of withdrawal)に関しての情報が不正確に告知されていたとして、9年前に結ばれたある銀行との融資契約を撤回することを望んでいた。
2019年11月15日